2022.08.13 ミカンちゃんのローズウインドウ 番外編4

つうしん第185号(2022.8)掲載 作品例

きんだーりーぷつうしん第185号(2022.8)に掲載の、ローズウインドウパターン作品例です。
今月は番外編。いつもの「ミカンちゃん」のものではなくて、スタッフ(の)の作品です。はさみだけで作れます。比較的単純な図案なので、夏休み親子で楽しんでいただければと思っています。

今月のポイント

今月は時間のない中で作った割には、個人的にも納得のいく作品になりました。SNS(インスタグラムとフェイスブック)で、スタッフ(ち)さんが「浴衣生地を思いおこす模様」といっていたように、3色の色が重なっている部分が落ち着いた雰囲気を醸し出していて、思わぬ効果にちょっと嬉しくなっています。
せっかくですので、今回はどんなふうにパターンを作ったかを紹介したいと思います。
長くなりましたが、ご興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

作り方はこちらから

初めて作られる方はミカンちゃんのブログをご覧ください。
・紙をおるところまではこちらから。
・パターンを写してしあげるまではこちらから。

材料はオンラインショップでお求めいただけます

ローズウインドウの材料はキンダーリープでも販売しております。
・ローズウインドウペーパーはこちらから。
・ローズウインドウ枠はこちらから。

パターンが掲載されている「つうしん」は、店頭でお買い上げのほか、オンラインショップご利用時も(ローズウインドウ関連商品に限らず)原則的に一緒にお送りしております。バックナンバーご希望の場合は、残っていれば一緒にお入れすることもできますので、一言添えていただければと思います。

お願いがあります

パターンが掲載されている「つうしん」は毎月だいたい月初めに発行しています。店頭で配布、通信販売にてお買い物時にはお付けしているほか、キンダーリープ有料会員さまへは毎月発行と同時にお届けしています。ご希望の方はお問い合わせフォームからご連絡くださいませ。
また、パターンはすべてミカンちゃんのオリジナルとなっております。(今回はスタッフ(の)のオリジナルです。)
営利目的でなくても、グループなど団体でご使用になる場合は必ずご一報ください。

パターンはこんな風に起こしました

オリジナルパターンを作るのは難しい、というお声を頂戴します。
スタッフ(の)はこんな風に考えたよ、ということを今回の図案に即してご紹介しますね。パターンがある方はお手元にご用意したうえで、どうぞご参考になさってください。

アイデアを練る

まず「どんな模様にしようかな?」と考えます。
複雑な柄はちょっと荷が重い。一番作りやすいのは「四角や三角・丸が重なった形」。いろんな「丸」が重なるときれいかな??と想像しました。

丸い形から思い起こすもの・・・。季節も考えると「花火」。
実は数日前に花火を見たんですよね。幸運にも「道央圏初の3尺玉花火」も見ることができて、「花火柄にしようかな?」と思いました。
でも、花火って細い線が集まってマルになっているイメージです。「細い線をたくさん」、カッターナイフが必要だし、作るのがちょっと難しくてめんどくさそう・・今回は諦めます。

ローズウインドウのパターンを起こすのは思いのほか大変です。
こんな時に重宝するのは「切り絵」の技法。もともとローズウインドウは、紙を何回か折って、切って、「おんなじ模様が繰り返し現れる」というのが大前提になっています。「同じ方法で作る切り絵の本」などを参考にするのもいいですね。「北欧の切り絵」なんて素敵な本も販売されています。
また、日本の昔からある図案「紋切り・紋切り遊び」は、花鳥風月のモチーフが単純化されているし、もともと丸い形も多いので、取り入れても面白そう。
ちょっと調べてみましたが、ピンとくるものもなくて、こちらも今回は断念します。

初心に戻って、丸を組み合わせた抽象的な感じにしようかな。(これだと、丸や半円をパターンに組み込めばできます。)
ただの丸だとつまらないから、丸の中に別の模様をつけようかな。(星形だと簡単だな。)

パターンを書いてみる

「あれ、○の中に☆の模様ってどこかで見たような・・・。あ、朝顔ってこんな感じなんじゃない?」ここで朝顔の花の写真を検索します。確かに真ん中の模様はちょっと星っぽい。
季節的にもぴったりだし、今回は朝顔にしてみようと決定です。
そしてざっくり書いてみたパターンがこちら。

私は「型紙の大きさの紙に実際に書いてみる」という方法で試し書きをします。そしてこの左右に同じ形が鏡のようにつながっていくイメージを頭の中で思い起こします。
朝顔とわかってもらうには朝顔の葉っぱが必要です。つるもあったほうがいいよね、これから咲く蕾も入れたいなあ。

線で描いたら、色分けをします。図のように色鉛筆で塗りこみます。
最初は3原色から。赤・青・黄に加えて、紫・緑・オレンジ・茶の7本くらいで塗り分けると、後で色分けするときに重宝します。
ローズウインドウでは、中央の色は外側から何かしらの方法でつながっていなければなりません。背景が白の場合は、途中で色が途切れないようにリボンのようなデザインでつなげていくことが大事になります。今回はその部分は「つる」でなんとかなりそうです。
まずは花の部分は、ほかのところとの対比がわかりやすいように赤やオレンジで塗ります。

ここでふと思い出します。先ほど見た「朝顔の写真」。ピンクのイメージもありましたが紫や水色の色が多かったです。暑い日が続いていたこともあって、ピンク系を止めて薄紫(パープル)に変更することにしました。
水色の朝顔も夏の朝にぴったりですね。ということで、当初の「黄色」もやめて、緑と水色の2枚を使うことに変更です。葉っぱは「明るい緑(レタス)」1枚のところと、「明るい緑(レタス)に薄い水色(アクア)を重ねてやや濃い色あい」の2色を作ると深みが増すかな??

薄紫の花を咲かせるには、薄紫以外の色の紙は、花の形(今回は丸)に切り落とせば薄紫の色が残ります。真ん中の筋は「白」にしたいので、薄紫の紙に筋の部分を切り落とすデザインを加えます。
逆に葉っぱの色に「薄紫」は必要ありません。「薄紫の紙」は葉っぱに切り抜くことで緑系の葉っぱが現れます。「色の引き算」です。

上にも書きましたが、中央(細くなっている部分)まで色を残そうと思うと、リボンのようなデザインで切り落とさないことが必要になってきます。今回は「つる」という形をとれば大丈夫。けれどもふと気がつきます。花と葉っぱがはっきりすれば、背景は白でなくてもよくて、「つる」も必要なくなるのでは??
薄紫、明るい緑、薄い水色の3枚が重なっても、もとの色はそれぞれに濃い色ではないのでそんなに暗くはならないかも。
そこで、背景は濃い色、「つる」は省くことに決定です。
蕾は白いので、すべての紙を切り抜きます。「蕾って『しましま』なんだよね」ということで、薄紫にしましま部分を残します。

ここで、本来ならば、それぞれの色のパターンを作る工程に入ります。まずは輪郭を全部移してしまって、ここは薄紫はいらない、ここは明るい緑はいらない、などぬりわけつつ、切る部分を洗い出す作業です。
でも今回は、ちょっと時間が惜しいので、その作業を省略。いきなりそれぞれの色にうつしつつ、切る部分を確認します。

試しに作る

こちらが実際に作って重ねてみたものです。
慌てて作ったので、細かなところが大きくずれています。でも全体の雰囲気がつかみ取れれば大丈夫。
・大きな葉っぱはこんな感じになるのか…。
・蕾は蕾ってわかってもらえるかな?
・真ん中は水色が残っているのはなんだかいやだな。白い花みたいにしようかな。
・小さな花は、水色と薄紫の丸の大きさを変えて、花の中で色が変わっていくみたいにしたらきれいだな。(最初は水色は全く切らないで、「薄青紫」を想定しましたが、急遽薄紫より一回り小さな半円で切り取ることに変更。この部分だけはどんな感じになるかを確認したくて、水色(アクア)の切り直し(一度たたんでその部分を切る)をして、色が重なるとどんな風になるのか確認してみました。)
・小さな花の下にちょっと下スペースがあるので、三角形で切り抜いたら、横から見ている図みたいに見えるかな?
・朝顔の星模様はもっと細くしなやかにしたほうがそれっぽく見えるよね…。

細かな改正点はたくさんあるものの、地を白くするのではなく、そのまま色を残す感じでも素敵なことがわかりましたので、大きな変更はなし。
頭の中でもう一度整理しながら「薄紫(ライラック)」「明るい緑(レタス)」「薄い水色(アクア)」のパターンを、オリジナルのパターンに重ねて写し取り、パターンの完成です。

後からの改善点

今回の作品はおおむね気に入っているのですが、さらに改善すればよかったなあと思う点が何点かありました。
・中央の部分をもうちょっと「朝顔」のようにしたかった。「パープル」を細くとんがった形で残せばよかったのかも。
・葉っぱと花の配置を逆のほうが素敵だったのでは?つまり外側に葉っぱ、中央にお花が集まっている感じ。(これは根本的なデザインの変更が必要。)
・小さい花は思い切って水色の花に、あるいは水色メインの2色にしたほうが良かったかも。(アクアの小さな半円と、パープルの小さな星形を交換するとそんな風になったと思います。)

いかがだったでしょうか?
今まで番外編(ピンチヒッター)として何回かデザインを起こし、今回は4回目になっています。今までの3回を振り返ってみると、どれも「傾向」がよく似ています。
いろいろなタイプのオリジナルを作るって難しいですね。ミカンちゃんの多様なパターンに頭が下がる思いです。
なんでもそうですが、数をこなすとコツがつかめてくるかと思います。
オリジナルを作るのが本当に難しいと思うとき、すでにあるパターンの一部を変えてみるということから始めるのがおススメです。
今回のパターンは単純なので、一部を変えるはやりやすいと思います。
興味のある方は「葉っぱと花の位置を変える」に挑戦してみてください。
気に入った作品に仕上がったら、それは「あなたの」オリジナル作品です。

カテゴリ:ローズウインドウ講座